« 世界で「千の風になって」 | トップページ | ターシャ・テューダーさん死去 »

氷室冴子さん死去

私の手元に氷室冴子さんの「東京物語」という文庫本があります。
最近、通院の度にお供してくれています。
でも、自分で買ったのではなく、いつの間にか家にあったもの。
おそらく、最初の職場の先輩か同僚が"面白いよ"と貸してくれた本だと思うのですが、
退職するとき周りの人に聞きまわったけれど、貸し手がわからないまま私が預かっています。
借りたものを返さないでいるのは心苦しい限りなのですが、今となっては誰の本だったか手がかりもなく時が流れ…
先日いらない本を捨てようと思って整理していたら、この本が出てきました。
そこで初めて、処分する前に読んでみようと思い立ちました。

もともと私はエッセイというのがあまり好きではありません。
作家の匂いがプンプンして、相性が悪い作家だったりすると臭くてやりきれなくなるだけだから。
ところが、彼女の話は意外に面白く、知らないうちに引き込まれていました。
女性が若い時にここまで冒険できるのは、ご自身が強い意志を持っているからだろうと感心し、適材適所にピタッと当てはまる形容とリズミカルな文体に心地よさを感じました。
それで、氷室冴子ってどんな人なのか調べてみよう、と思っていた矢先でした。

今日、新聞に載っていたのは氷室冴子さんの訃報。
肺がんで死去。まだ51歳の若さ。 ショックでした。

「東京物語」の中に"病は気から"という文章があります。
それによると、彼女は大の病院嫌い。注射が怖い、薬が苦手とのこと。
病院に行くだけで重病になったと思い込み、医者の言葉も疑ってかかると。
私は自分が病院にいる時にこのくだりを読み、「注射が怖いなんて甘いなぁ。私は毎日注射することもあるし、自分で自分に注射もする。だいたい、注射より痛いことは沢山あるのに、これくらいで騒いでどうする?」と心の中で笑っていたのです。
そんな彼女が肺がんで死亡とは…注射とは比べ物にない痛みと闘っていたのでしょうね。

上記の文章では、氷室さんが肺炎にかかった話が描かれるのですが、
彼女は、肺炎でなく肺結核か肺がんかもしれない、と勝手に思い、一人で動揺する様子が面白おかしく続きます。
それを笑って読んでいたのに、まさか本当に肺がんとは…びっくりしました。

ご冥福をお祈りします。

|

« 世界で「千の風になって」 | トップページ | ターシャ・テューダーさん死去 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 世界で「千の風になって」 | トップページ | ターシャ・テューダーさん死去 »